この星で生きていく

愛はけっして「もうこれ限り」とは言わぬもの

大地と母子

ティク・ナット・ハン 『大地に触れる瞑想』より、「大地のようにたくましく」

 

 

「教え」ではなく、「道」でした

私はよく、落ち着かない気持ちのときは喫茶店にいきます。そこでお茶を飲みながら、本を読んだりブログを書いたりしている時間がとても好きです。

 

クライアントの方からのご相談で、「自分を満たすにはどうしたらいいのか」というようなお話を聞くと、人はひとり一人まったく異なるオリジナルの存在なので感じ方は違うものですが、私自身も自分を満たしたくて長い時間を費やしてきたので、満たされたいのにどうすればいいのかわからない、という気持ちがよくわかります。

 

私の場合は、やっぱり、周囲からの評価や仕事の数、自分の世界観を認めてもらうことなど、“外側のもの”で満たそうとしてしまったので、それは結果としてすべてうまくいきませんでした。そこには一瞬の快感や、満足感、達成感、誇らしさなどはあるのですが、過ぎ去ってしまえばすべて虚しいものです。

 

ですから、その人に何が最適かという本当のところはわからないのですが、「外側のもので自分を満たそうとしても、それはうまくいかない」ということだけは言えます。仕事と収入さえあれば、結婚をそれば、それで安心や安らぎが続くと思ったら、それは違いますよね。どのような状況でも、人生では思いがけないことを経験します。

 

そして、「では、内的に自分を満たしていこうと思うけれど、それも一歩一歩の歩みなんだな」と、本当にそう思います。

 

先日、武蔵関にある霊性センターせせらぎで、祈りを深める研修をしてきたのですが、コロナの影響もあって昼食も沈黙を守って行われました。祈りと共にいただくお食事は、心がおしゃべりでさわがしくないこと、が大切です。ですが、つい色々な考えが頭をよぎったりしてしまいます。

 

お食事の前に小暮神父様が、「キリスト教は教えではなく、キリスト道、道(みち)なんです」と教えてくださいまして、そのことにとてもハッとしました。私も自身が書く文章で、わかったような言葉で「仏教やキリスト教の教えは」というような書き方をしていたからです。

 

当たり前の日常で、日々、行っていく実践の積み重ねが大切なのですね。

 

 

すべての移ろいゆくものは永遠なるものの比喩である

私は、心の道、霊的な実践をティク・ナット・ハンの一冊の本との出会いによってはじめました。

 

あの日、ティク・ナット・ハンの言葉に触れて、私の内側の永遠性が刺激され、十数年ぶりにサンドイッチが美味しく食べられたこと、この世界の当たり前の日常に自分も混ざっていられること、それがただただ嬉しくて、その感動は今でも覚えています。

 

最初、本当にたった一粒のまばゆい光、限りない熱量だったかもしれない宇宙は、膨張し、星々を生み、その星が爆発し、太陽系が生まれ、地球という星から人間が生まれ……

 

こうして静かに生死の波にのりながら、宇宙誕生から138億年かけてくりかえしてきたことを、私たちはお母さんのお腹のなかで約10カ月の間に駆け巡って誕生してきます。無さえなかった、あらゆる可能性を内包する無限のエネルギーと子宮はつながっていて、あの世からこの世へ、私たちはやってきたのです。

 

成長しても、一日で数千億個の細胞は入れ替わっています。宇宙で起きていることが、この身体で日々、刻々と起きています。私の身体のなかで宇宙が爆発する……こうしている瞬間にも。

 

このような気づきは、私に日々の瞬間を大切に生きる意識をもたらしてくれました。出産時、出産後に経験したパニックによって、人は自分自身を受け入れることが難しくなってしまいます。あまりにも条件づけられてしまうのです。愛を得るには、相手や社会が望む自分ではなくてはならないと、誰もが条件付けられるのです。

 

 

魂の数は地球上の人間の数よりはるかに多いのに。

この世に生まれてきただけですごいことなのに。

生まれてきただけで合格のはずなのに……

 

 

感情的な痛みやブロック、ショックや恥に向き合って、それを癒すことは時間のかかることでした。それでも、少しずつ、物事をあるがままにしておくこと、大いなる感謝をもって自分自身を受け入れること、身体という神秘を感じること、そういったことができるようになってきたと思います。

 

数日前に、退院祝いを家族がしてくれるというので会いに行ってきたのですが、そこへ向かう途中、このようなことを感じながら歩いていました。

 

 

大地のようにたくましく

大地と母子

 

ティク・ナット・ハンの『大地に触れる瞑想』は、46のマインドフルネスの実践のための瞑想が紹介されていますが、落ち着かない気持ちのとき、不安や孤独を感じたり、満たされない思いのとき、私はティク・ナット・ハンの言葉に戻ると、スッと心が静まってきます。

 

人はどうしても愛されたい存在で、どんなに愚かで弱くて醜くても、無条件に愛されたいのですが、そのような愛を人間から得るのはとてもとても、難しいことです。

 

ですが、身体に気づき、大地に触れ、自然を見つめるとき、そこに無条件の愛を感じることができたなら、それは私たちの素晴らしい「生きる力」になるのではないかと思います。

 

 

大地のようにたくましく

〈大地に触れる祈り〉

ここに木の根元が空いている
だれもいない、静かな場所に
小ぶりの座蒲(ざぶ)が置いてある
ひんやりとした緑の草も生えている
わが子よ、あとは座るだけ

背筋を伸ばして
ゆるぎなく座りなさい
心安らいで
考えごとに心をさらわれぬよう
大地にしっかりと触れるよう座りなさい
大地とひとつにつながるがごとく
わが子よ、そのときあなたはほほえむだろう

大地はあなたにその安定を授けてくれる
安らぎと喜びも
呼吸への気づきとともに
安らいだほほえみを浮かべる
大地に触れる印を結びなさい

ときにはうまくいかないこともある
かつてあなたは大地に座りながら
まるで宇宙に浮かぶよう
生死の循環(めぐり)の中にさまよい
幻の大海の中で浮き沈みしていた
けれど大地はいつでも辛抱強く
変わらぬ心でいてくれた
そして今もあなたを待つ

この無限の転生を
待ち続けていたのだから
だからどんなに長くとも
大地が待てぬことはない
大地はいつでも喜んで迎えてくれる
つねに新たに生き生きとして
まるではじめてというように
愛はけっして「もうこれ限り」とは言わぬもの
大地は愛情深い母だから
限りなくあなたを待ち続ける

帰りなさい大地に、わが子よ
あなたはあの木と同じ
魂の葉、枝、花は、新たに生き生きとよみがえる
大地に触れる印を結ぶそのときに

わが子よ、まだ見ぬ道があなたを待っている
草とかわいらしい花々におおわれた道が
香しい田んぼのあいだに伸びていく
あなたが母の手をとり歩んだ
今も心に残るその道が

わが子よ、考えごとに心をさらわれぬよう
一瞬ごとにその道に立ち返りなさい
最愛の友であるその道に
道はあなたに
力と安らぎを与えてくれるだろう

呼吸にたゆみなく気づいていれば
大地とのつながりは失われない
足で大地をキスするように
マッサージするように歩みなさい
あなたの残した足跡は
今の瞬間をここに呼び戻す
皇帝の押す印(しるし)
そこからいのちがあらわれる
血はあなたの頬を愛の色で染め
いのちの不思議が生まれる
あらゆる苦しみは安らぎと喜びに変わる

わが子よ、うまくいかないこともときにはあった
だれもいない道を行き、あなたの心はさまよった
輪廻の循環にとらわれ
幻の世界に飲み込まれていたから
けれど美しき道は辛抱強く
あなたの帰りを待っていた
あなたがなじんだ誠実なその道は
いつかあなたが帰ると知っていた
あなたを迎えて喜ぶだろう
道ははじめてのときと変わらずに
ういういしく美しい姿でいるだろう
愛はけっして「もうこれ限り」とは言わもの

その道はあなた自身だ、わが子よ
だから待ってもけっして疲れない
その道は赤茶けたほこりがおおっても
落ち葉や凍てつく雪が積もろうと

その道に帰りなさい、わが子よ
私にはわかっているのだから
あなたがあの木であり、葉であり
幹、枝であることを
そしてういういしく美しい
あなたの魂の花は
大地に触れる印を結ぶとき
開くのだということを

(『大地に触れる瞑想』/ティク・ナット・ハン 島田啓介訳)

 

 

ティク・ナット・ハンが「いのち」というとき、先祖や子孫だけではなく、人種や国境に関係のないすべての人、すべての被造物との「いのち」のつながりのこにほかならないと思います。

 

そして、道とは私たちの内なる永遠性そのもの、本当にそれを表すために私たちはこの世界に生まれてきた、地球だけではなく数多の星、星系で私たちの魂は輪廻を繰り返し、幻想に眼をくらまして道から外れたこともあるけれど、宇宙のはじまりより続くその道は、私たちがいつか戻ってくるのを信じて待っていました。

 

そして、内なる永遠、空は、どれほど苦しく痛みを伴う経験をしようとも決して影響を受けず、変わらない。その神聖さは今もあなたの奥深くに息づき、芽吹くのを待っています。

 

内なる永遠をこの地上で花開かせるために、私たちは生まれてきたのです。

 

 

Sitara

 

 

関連記事一覧

  1. 宇宙意識開発に参加をした仲間たち
  2. 胸骨の中心の痛みについて
  3. マザー・テレサ
  4. 【慈悲の瞑想】私のいちばん深い場所であなたを抱くように
  5. 継続おめでとう、赤ちゃん
  6. Larネオナチュラル ヒーリングローション
PAGE TOP