Roaming Sheep
故郷はもうないのだと知って泣く、天使の涙で船を出す

『死への接近』のプロセス/本当に自分はたった独りなのだ

中川多理 球体関節人形 人狼の少女

中川多理 球体関節人形 人狼の少女

中川多理『物語の中の少女』より
loup-garou 人狼の少女
「カファルド」ボナ・ド・ディアルグ

 

「本当に、自分はひとりなのだ」

そのように強く悟った経験はありますか?

自分にとって世界のすべては特別価値を感じないし、ゆえに誰とも共有できるものもなく、自分の内側で起こっていることを伝えようとしても理解してくれる人もいない。また、わかるように話す言葉もなく、何より自分がいちばん自分の中で起こっていることを理解できていない。

とにかく自分の言葉は誰にも届かないし、真に自分に眼を向けるものもいない……

 

 

死への接近

ルドルフ・シュタイナーの『秘儀参入の道』を読んでいました。

そこでは「死への接近」として、私が上記に書いたような、「本当に、どうしようもなく自分はひとりなんだ。世界ってそういうものなんだ」という経験が、秘儀参入の第一段階であると書かれています。

つまり、ここでいう「死」とは、肉体の死ではなく、この現実世界で生きていて、通常人が見ている事物や価値観・信念・常識といったものがすべて自分の世界の外側にあり、なんの意味もなさなくなってしまう……意識のフォーカスが現実世界からはずれた状態に放り込まれてしまうことをいいます。

あらゆる価値がはぎとられ、物質的な物事に実感を感じられず、しっかりと大地の上に立っており私は私であるという誰もが当たり前に持っている強い感覚を失い、空は透明になり、人が関心を示すものには何も感じず、自分が無の上に立っているかのような……それでいて下ることも上ることもできないまま、時間だけがただ流れていくことを知覚するしかできない。

「死への接近」は病気やトラブルなどを通してはじまる場合もありますが、育児鬱なども当てはまります。国は働くお母さんを応援と言いながら、安心して子どもを預けられる保育園がない状況、行政も夫も助けてくれない、本当にひとりなんだと思うとき……

また、仕事で孤立無援になったり、不当なリストラや、さまざまな事情があって夜の世界などで仮面をかぶって働いている人などが精神的な苦しみの内に孤立していくなどもそうです。また、なんの外的要因もなく突如このプロセスが発動する人もいます。

誰にも理解されない。誰にも本当の気持ちを話すことができない。自分を理解する人はいない、自分は独りだ……本当にこの世界でたった独りなのだ……

そのような感覚を胸に抱いて、それでも社会に適応しようと人は頑張ります。そして痛みや苦しみは癒えないまま、もっと深く孤立していき、力をなくしていっていまうのです。

精神病をはじめ、自殺や家庭内暴力の増加は、「死への接近」のプロセスを正しく取り扱われなかったから生じているとも言えます。

 

 

本当の自分になっていく大切なプロセス

中川多理 老天使

『幻鳥譚』老天使EW-VIII

 

人間の集合意識の中では「病気」「自殺」「鬱」その他の人間関係や金銭、家庭の問題などは「悪いもの」「異常なもの」として捉えてきました。

その文脈で生きている限り、病気は治ることがよいことであり、欠けてダメな自分をよりよく改善して社会に参加していける立派な大人になることが価値のある人間であるとされます。

私はわりと早い段階で「死への接近」を経験したのですが、その私から言いますと、このような努力をすればするほど病気は重くなり、閉塞感と孤立感を感じる現状を生み出していくばかりです。

私たちの文化の中には「死への接近」という考えが組み込まれていないので、子どもが鬱や登校拒否、自傷、精神病などにかかったら「大変だ!」となってしまいます。

とてもデリケートなプロセスですが、本当はそれはその人にとってとても大切なプロセスを歩み始めたという証拠です。「死への接近」が起こってしまった人にとって、外的なものはいっさい価値を失っているので、周囲のいかなるアドバイスも引き止めも無駄でしかありません。

私は当時、このような知識がありませんでしたから薬もたくさん飲んでいましたが、このプロセスに入った人にとっては薬も無駄である可能性が高いようです。「死への接近」はその人が集合意識の外に出ていったという合図であり、これからその人はとても大変な時期をたった独りで向き合って、通過していかなくてはいけません。

それでも、通過したあかつきには「自分はこうでしかありえない、これでやっていく」という覚悟が決まり、同じようにこのプロセスを歩む人たちを見守ることができます。

ですが、ともすれば身近な人や物を傷つけたり、命を失くしてしまう可能性もあるので、周囲の人はその人が「今は本当の大切なプロセスを歩んでいるんだ」という理解を持ち、見守らなくてはいけません。

 

 

あなたはあなたに帰るしかない

どこへ帰ろうというのか
帰るところがあるのかあなたには
あなたはあなたの体にとらえられ
あなたはあなたの心に閉じこめられ
どこへいこうとも
あなたはあなたに帰るしかない

……

あなたは愛される
愛されることから逃れられない
たとえあなたがすべての人を憎むとしても
たとえあなたが人生を憎むとしても
自分自身を憎むとしても
あなたは降りしきる雨に愛される
微風にゆれる野花に
えたいの知れぬ恐ろしい夢に
柱のかげのあなたの知らない誰かに愛される
なぜならあなたはひとつのいのち
どんなに否定しようと思っても
生きようともがきつづけるひとつのいのち
すべての硬く冷たいものの中で
なおにじみなおあふれなお流れやまぬ
やわらかいいのちだからだ

(谷川俊太郎『やわらかいいのち』より)

 

高校生の頃には「死への接近」のプロセスを歩み始めていた私は、周囲に溶け込めず、シャットアウトし、写真や本、映画の世界に引きこもっていました。詩が好きだったのでよく読んでいましたが、改めて谷川俊太郎さんの詩を読むと、きっと谷川さんも早い内に「死への接近」を経験した方だと思います。

たとえ私がこの思い通りにならない人生を憎んだとしても、絶望しかない未来を憎んだとしても、力のない弱い自分を憎んだとしても、どうしてこんな世界に生まれたのかと天の誰かを憎んだとしても、すべての人を憎んだとしても……そうか、私は私から逃れられない。私は私に帰るしかないんだ……

私は何度か命を断とうとしましたが、たとえ死んでも、私が独りであるという真実からは、決して逃れられない。あなたも、もしそんなことを考えたことがあるのなら、終わりにできるときなんて来ないと、どこかで覚えていてください。

「死への接近」を通して本当の自分の生を見出していく人は、人生を一変させるような苦悩や苦痛を耐えなくてはなりません。このような過程を通し、魂が成熟していきます。

 

 

真夜中に太陽を見る

『幻鳥譚』老天使

 

 

 

『幻鳥譚』老天使EW-IX

 

 

 

 

シュタイナーの教えを知ってから、私は高校生の頃に見た夢の意味を知りました。

私はどこかの島にいて、そこは白い砂浜とすき透った海があり、空は雲一つなく青く、太陽がカッと照りつけています。肌に日差しの熱さを感じながら、私は海に入りましたが、そこで先ほどから感じていた違和感に気づきます。海は魚も海藻も珊瑚も何もない、生き物がなにもいない海でした。浜辺に立っていても、鳥一つ飛ばず、風もふきません。

私は海中で反転して水面に乱反射してキラキラする陽の光を見ていました。どこまでも静まり返った世界に、波と光だけが動いています。海から出て私は人を探すことにしました。あまり大きくない島なのか、しばらくすると反対の浜に出て、そこで肩を寄せ合って座っているカップルを見つけます。私はそばにより、話しかけたり二人の前に回ったりするのですが、ふたりには私が見えないし、声も聞こえないようでした。

そこで目が覚めました。これは、昼の、つまり常識的で理解できて、一般的な価値をもとに動いている昼の世界からは締め出されてしまったかを物語るような心象風景です。

もし周囲に「死への接近」について理解している大人がいたら、私は他の人とは違ったプロセスをとりながら個性を育んでいけたのかもしれません。ですが、なんとか目に見える現実の中で意味のある自分になろうとして、社会の要請に見合うようになろうとして、四苦八苦しながら多くの時間を過ごすことになりました。

本当は、「死への接近」が発動したならば自分の内に深く戻り、あらゆる体験を内的に溜め込んで、そこで自信や共感、自由や情熱を見出していかなくてはいけません。そして、後にも先にも自分しかないということを心底自覚し、外部の感覚で生きることや外側への適応を辞め、自らの内的な感性で自分の世界を創っていくのです。

作家やアーティストはこのように内的に溜め込んだものを放出し、オリジナリティを発揮します。主婦であろうと、ビジネスマンやOLであろうと、「死への接近」の種を持っている人は、自分の内側深くに引きこもり、そこで永遠性に触れ、自分の内的な感性から何かを生み出していくこと。

たとえ人生において何も生み出せなかったとしても、「私はこの現実でこれを見出してきた」という内なる実感と充足こそが、あなたがこの世界に生まれてきた理由なのではないでしょうか。

 

 

すてきなひとりぼっち

あなたはこれまで人生で何を体験してきましたか?

普通の人が現象世界の方を向いて、これから人生をどう生きていこうかと考えるようにはいかない人生をスタートさせたなら、制限のあるこの世界でどのように本質的な自信や共感、自由や情熱といったものを見出したかがあなたの力になっていきます。なぜなら、いわゆる一般的な社会のレールからはドロップアウトしたことになるので、自分で道をつくっていかなくてはいけないからです。

それは大変かもしれませんが、お互いに「本当に独りである」ということを胸に、互いに助け合ったり、先を行く者が道を照らしたり、そうして歩いていく人生は、実はとてもすてきなものなのです。

最後に、大好きな谷川さんの詩をもうひとつご紹介します。

 

誰も知らない道をとおって               
誰も知らない野原にくれば
太陽だけが俺の友達
そうだ俺には俺しかいない
俺はすてきなひとりぼっち

君の忘れた地図をたどって
君の忘れた港にくれば
アンドロメダが青く輝く
そうだ俺には俺しかいない
俺はすてきなひとりぼっち

みんな知ってる空を眺めて
みんな知ってる歌をうたう
だけど俺には俺しかいない
俺はすてきなひとりぼっち

(谷川俊太郎『すてきなひとりぼっち』より)

 

 

 

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